東豆川市の山中に佇む元収容所の建物は、長年にわたり人目を避けるように放置され、鬱蒼とした木々に覆われた廃墟と化していました。割れたガラス窓、錆び付いた鉄格子、剥がれ落ちたコンクリート壁、散乱する医療器具の残骸が、当時の異様な空気を今に伝えています。
事態が大きく動いたのは2026年9月です。韓国大法院(最高裁)は、元基地村女性ら100人以上が国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟において、「国が基地村を造成・管理し、性売買を正当化・助長しただけでなく、違法な強制収容と過剰な医療行為で人権を著しく侵害した」と認定。原告勝訴の判決が確定しました。この歴史的司法判断により、モンキーハウスは単なる都市伝説の廃墟から、「国家暴力の動かぬ証拠」として公的に位置付けられることになりました。
現在、現地ではこの遺構を「負の歴史遺産(ダークツーリズム拠点)」として保存し人権教育の場として活用すべきと主張する市民団体・研究者と、治安上の懸念や建物の崩落危険、地域イメージの悪化を理由に早期解体を求める自治体・所有者との間で激しい議論が交わされています。近年は不法侵入や無許可撮影を防ぐため立ち入り禁止措置が厳格化されており、歴史の記憶をどのように後世に残すかが問われています。