サッカーのワールドカップやオリンピックを見慣れている読者にとって、「外国籍の選手がなぜ国の代表になれるのか」という点は最大の疑問でしょう。サッカーや五輪は基本的に「国籍(パスポート)」が代表選出の絶対条件となりますが、ラグビーの国際統括団体であるワールドラグビー(World Rugby)は根本的に異なる理念を採用しています。
ワールドラグビーの基本理念は「国籍主義」ではなく、クラブや地域社会への帰属を重視する「所属協会主義」です。具体的には、競技規則第8条(Regulation 8)により、以下のいずれか1つを満たせば、どの国の国籍であってもその国の代表資格(Eligibility)を取得できます。
- 条件1(出生地):当該国・地域で本人が出生していること。
- 条件2(血縁):両親、または祖父母のいずれか1人が当該国・地域で出生していること。
- 条件3(継続居住要件):当該国・地域に60ヶ月間(5年間)以上、継続して居住していること(※2021年末までは36ヶ月間=3年間でしたが、2022年1月1日より5年間へ延長改定)。
- 条件4(累積居住要件):当該国・地域に合計10年間以上居住していること。
李承信選手は日本で出生しているため「条件1」に該当し、出生の瞬間に日本代表資格を満たしています。一方、韓国出身の具智元選手は高校・大学・社会人と日本国内に長く居住していたため、2017年の代表初選出時点で旧規定の「3年継続居住要件(条件3)」を完全に満たしていました。つまり、ラグビーのルール上、帰化して日本国籍を取得しているかどうかは代表選出の必須要件ではないのです。