ネット上の質問サイトやSNS上では、保護者や学習者から「2つの数ならすだれ算で解けるのに、3つの数になった途端に答えが合わなくなる」という悲痛な声が毎年数多く寄せられています。指導現場で長年教鞭を執る教育関係者の証言によると、この「3つの数の最小公倍数」こそが算数嫌いを生み出す最大の難所の一つです。
混乱の原因は極めて明確です。2つの数のすだれ算では「両方を割り切れる数」がなくなった時点で計算が終了します。しかし、3つの数の最小公倍数を求める場合、「2つだけでも割り切れる共通因数があれば、割れない数はそのまま下に下ろして割り算を続行しなければならない」という特有のルールが存在するからです。
具体的な数値で手順を確認してみましょう。例えば「8、12、18」の3つの数を処理する場合を考えます。
まず、3つの数すべてを割り切れる「2」で割ります。結果として下段には「4、6、9」が残ります。ここで「3つの数すべてを割れる約数」は存在しなくなりますが、最小公倍数の計算ではここで止めてはいけません。
次に、残った数値のうち「4」と「6」に着目し、2数のみを割れる「2」でさらに割ります。このとき、2で割り切れない「9」は計算を行わず、そのままの形で下段へと降ろします。このステップを経ると下段は「2、3、9」となります。さらに「3」と「9」が「3」で割れるため、今度は3で割れない「2」をそのまま下ろし、下段は最終的に「2、1、3」となります。
最後に、左側に並んだ割る数(2 × 2 × 3)と、最下段に残った数(2 × 1 × 3)をすべて掛け合わせます。「12 × 6 = 72」となり、これが正しい最小公倍数です。もし途中で止めて「2 × 4 × 6 × 9」などと計算してしまえば、桁外れの誤答に至ります。この「2つだけでも割る」という例外ルールの徹底こそが、3つの数を攻略する唯一の鍵です。