1896年、陶磁器の聖地として知られる英国ストーク・オン・トレントのアルバートワークスにて、トーマス・ワイルド親子によって産声を上げたのがロイヤルアルバートの始まりです。翌1897年のヴィクトリア女王即位60周年記念品を制作したことで名声を高め、1904年にはエドワード7世より「ロイヤル」の称号を授与され、名実ともに英国王室御用達ブランドの仲間入りを果たしました。
創業当初から掲げられた哲学は、「良質なボーンチャイナを、王室や貴族階級だけでなく一般の家庭でも手の届く価格で提供する」というものでした。薄く透過性がありながら高い強度を誇るボーンチャイナに、英国の自然や花々をモチーフにした転写技術を融合させた製品は、またたく間に庶民の憧れのテーブルウェアとなりました。
その歴史的頂点となったのが、1962年に専属デザイナーのハロルド・ホールドクロフト氏が発表した「ロイヤルアルバート オールドカントリーローズ」です。満開のイングリッシュローズを赤・ピンク・黄色の鮮やかなグラデーションで描き、縁取りには筆ではなくスポンジで金を叩き込む「スティップリング技法」を採用。発売以来、世界累計で1億5,000万ピース以上が生産・販売されたとされ、単一のテーブルウェアパターンとしてギネス級の記録を樹立しました。紅茶の香りを最大限に引き出すために設計された広がりのある「モントローズシェイプ」とともに、英国陶磁器史における不朽のアイコンとして君臨しています。