宝石の鑑別において、単に「キャッツアイ」と記載が許されるのは鉱物名「天然クリソベリル」に属するものだけです。トルマリンやアパタイト、エメラルドなどにも同様の光の筋が出る現象は存在しますが、それらは必ず「アパタイト・キャッツアイ」のように鉱物名を冠して呼ばなければならない厳格なルールが存在します。
この猫の目を思わせる光の帯は、宝石学用語で「シャトヤンシー効果(変彩効果・猫目効果)」と呼ばれます。石の内部に平行に密集して整列した微細なルチル(金紅石)の針状インクルージョンに光が当たり、カボションカットされた曲面によって反射・集光されることで現れる自然の奇跡です。
クリソベリルキャッツアイの中でも、最高峰と称されるのが「ミルクアンドハニー効果」を示す個体です。石の側面からスポットライトを当てると、光が当たる半面が濃厚なハチミツのような透明感ある黄金色(ハニーカラー)に輝き、反対側の半面が白く濁った練乳のような色(ミルクカラー)に二分されます。さらにペンライトを正面から当てて左右に傾けた際、光の筋が滑らかに開閉するかのように動く様は、まさに生きている猫の瞳そのものです。
さらに、キャッツアイの石言葉には「守護」「直感」「幸運」「魔除け」があり、古くから王侯貴族の間で危機を察知する護符として珍重されてきました。精神的な象徴性と物理的な希少性が交差する点に、愛好家を惹きつけてやまない魔力があります。