作品の監督を務めたヴォルフガング・ライサーマンは、ディズニーの黄金期を創り上げた伝説的クリエイターの一人だ。彼が指揮を執った本作では、手描きのスケッチ線を生かしたゼログラフィー技術が最大限に活用された。温かみのあるラフな線画が、70年代パリの抒情的な風景や個性あふれる野良猫たちの自由な空気感をみごとに捉えている。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが生み出した数ある長編の中でも、本作が醸し出すアットホームで洒落た空気感は独特だ。劇中のアニメーション表現は、後年のアニメーション映画産業における作画技法やキャラクターデザインの方向性にも多大なインパクトを与えた。手描きのぬくもりを残すタッチが、今のデジタル世代には新鮮な驚きとして映っている。