BOOK AND BED TOKYOが提示した最大のイノベーションは、本を販売する一般的な書店でも、単に寝る場所を提供するだけのカプセルホテルでもなく、「読書体験を通じた心地よい寝落ち」そのものを商品化した点にありました。
仕掛け人となったのは、不動産セレクトショップ「R-STORE」を運営していた株式会社アールストアです。内装デザインには建築家・谷尻誠氏率いるSUPPOSE DESIGN OFFICEを起用し、選書にはカルチャー層から絶大な信頼を集めるSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)が参画。青を基調とした洗練されたビジュアルと、無骨な合板で組まれた巨大本棚のなかに潜り込む非日常的なギミックは、スマートフォンのカメラ越しに強烈なインパクトを放ちました。
宿泊客は「本棚の奥に眠る」という子どもの頃の秘密基地のような興奮を味わい、ロビーフロアではデイベッドに寝そべりながら夜遅くまで読書に耽る。こうした泊まれる本屋のコンセプトと特徴は、CNNやガーディアン紙など海外有力メディアでも大きく報じられ、訪日外国人観光客と国内のミレニアル世代を中心に、予約困難なプラチナチケットと化していきました。