雅子さまの闘病を語る上で避けて通れないのが、かつて週刊誌やネット掲示板にあふれかえった壮絶なバッシングの嵐です。
療養初期の2000年代半ば、一部メディアは「公務は休むのに私的な外食やスキーには行くのか」「皇太子妃としての自覚が足りない」といった辛辣な論調を展開しました。当時の5ちゃんねるやYahoo!掲示板などのコミュニティでも、適応障害という病気への無理解から、自己都合のサボりであるかのような偏見に満ちた書き込みが散見されました。
しかし、こうした風向きを大きく変えた要因は2つ存在します。
第1に、大野裕医師の著書の広がりと、日本社会全体のメンタルヘルス・リテラシーの向上です。大野医師が執筆した『こころが晴れるノート』や『はじめての認知行動療法』などの一般向け書籍はロングセラーとなり、学校や企業の産業保健現場で広く読まれました。「考え方の癖に気づくことで心が軽くなる」「適応障害は誰でもかかりうる心の骨折である」という知見が浸透するにつれ、雅子さまが置かれていた過酷な環境に対する同情と理解が社会的に深まっていったのです。
第2に、雅子さまご自身の誠実な姿と、国際舞台で見せた圧倒的な存在感です。2019年の即位パレードで沿道からの祝福に目頭を押さえられたお姿や、通訳を介さず外国元首と笑顔で親交を深められる自然体の立ち居振る舞いは、かつての批判派をも沈黙させました。SNS上でも「雅子さまの姿を見て、自分もうつ病から復職する勇気をもらった」「完璧を目指さなくていいと教えてくれた」という共感と感謝の声が主流を占めるに至っています。