「ここはもう、単なるフードテーマパークではないんです」
館内ですれ違った古参のスタッフが、誇らしげに呟いた言葉が耳に残る。2026年現在の新横浜ラーメン博物館が担っているのは、エンターテインメント以上の重責だ。全国各地で進む過疎化と職人の高齢化、そして後継者不足。地方のロードサイドや港町で何十年も愛されてきた老舗が、次々と暖簾を下ろしている現実がある。
博物館が近年注力しているのは、そうした「歴史の狭間に消えゆく地方麺」の記録と継承だ。現地に足を運び、引退を決断した店主の技と秘伝のタレを直接引き継ぐ。あるいは、何世代にもわたって守られてきた地元の味を、そのままの配合で地下街に再現するプロジェクト。今やここは、日本の麺文化における「ノアの箱舟」としての顔を色濃くしている。