城田優が仕掛ける新章:舞台演出と主演で激変する日本の演劇界

城田優が仕掛ける新章:舞台演出と主演で激変する日本の演劇界

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日本のミュージカル史を語る上で、東宝が誇る大作『エリザベート』における城田優の存在は決して外すことができない。死の概念そのものを擬人化した「トート」役。圧倒的な長身と彫刻のような容貌、そして妖艶さと冷徹さを併せ持つ歌声で、劇場の空気を一瞬で凍りつかせ、そして熱狂させた。歴代最年少で抜擢されたあの瞬間から、彼の伝説は始まったと言っていい。

その挑戦はやがて、さらなる進化を遂げる。ミュージカル『ファントム』において、彼は主演のエリックを演じるだけでなく、自ら演出も手掛けるという前代未聞の重責を担った。醜い素顔を仮面で隠し、オペラ座の地下で愛に飢える怪物の孤独。城田は自身の身体を削るようにして役と対峙しながら、美術や照明、音楽の抑揚に至るまで徹底したディレクションを敢行した。観客の胸を締め付けたあの耽美な世界観は、彼が単なるスター俳優から本格的なクリエイターへと変貌を遂げた決定的なマイルストーンである。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。