冷やし中華特有の黄色く縮れた中華麺には、かんすい由来の独特な風味とコシがある。氷水でしっかりと締められた麺は冷たく、そのままでは油分を含まない醤油ダレを弾きやすい。
そこにマヨネーズが介在するとどうなるか。適度な粘度を持ったマヨネーズがタレと一体化し、麺の表面にしっかりと絡みつく「ソース」の役割を果たす。ひと口すするごとに、麺の弾力とともに芳醇なコクが口いっぱいに広がる仕掛けだ。
さらに、紅生姜の辛みやキュウリのみずみずしさが、マヨネーズの油っぽさを適度にリセットする。からしの刺激的な辛さとはまた異なる、重層的な味わいのグラデーション。一度このバランスに慣れてしまった舌にとって、からしと醤油ダレだけの冷やし中華が「どこか物足りない、あっさりしすぎた麺」に感じられてしまうのも無理はない。