物理的に見える位置にあるとはいえ、「行けばいつでも見られる」わけではない点が、この展望台の難しさであり旅情をかき立てる要因でもあります。長年現地の空を観測し続ける地元写真家や観光関係者の記録を総合すると、釜山が日中に目視できる確率は年間を通しておよそ15%〜20%(年間50日〜70日程度)にとどまります。
目視を阻む最大の敵は、大気中に漂う「水蒸気」と「微粒子(PM2.5や黄砂)」です。気温が高く湿気が多い春から夏にかけては、快晴であっても大気中の水分が光を乱反射させ、視界全体が白く霞んでしまいます。地元住民が「晴れていても韓国が見える日はそうそうない」と口を揃えるのはこのためです。
鮮明に目視するための気象条件には明確なパターンが存在します。狙うべきは「強い冬型の気圧配置が決まり、寒冷前線が通過した翌日の朝」、または「秋から冬にかけて移動性高気圧にすっぽり覆われ、放射冷却で湿度が下がった無風の早朝・夕暮れ時」です。
展望台には据え置きの観光望遠鏡が設置されているほか、持参した8倍〜10倍程度の双眼鏡を使うことで、釜山港を行き交う大型コンテナ船や沿岸部を走る自動車の反射光までもが視界へと飛び込んできます。