終戦直後の1946年、大橋鎭子は妹の晴子・芳子、そして日本読書新聞社時代に知り合った天才編集者・花森安治とともに、銀座の一角で「衣裳研究所」を設立しました。花森安治こそが、劇中で唐沢寿明さんが演じた花山伊佐次の実在モデルです。
東京帝国大学(現・東京大学)美学美術史学科出身の花森は、圧倒的なデザインセンスと鋭利な批評眼、そしてスカートを穿くなど独自の美学を貫く強烈な個性派でした。2人は1948年に生活総合誌『美しい暮しの手帖』(のちに『暮しの手帖』へ改題)を創刊。広告を一切掲載せず、読者の購読料だけで運営するという前代未聞のビジネスモデルを確立します。
特に読者を驚愕させたのが、中立公正な視点で行われた「商品テスト」でした。トースターや洗濯機、アイロンなど、高度経済成長期に登場した家電製品を実際に購入し、壊れるまで使い倒して性能を徹底比較。企業からの広告費に頼らないからこそ書けた辛口かつ実用的なレビューは、多くの主婦層から絶大な信頼を獲得し、一時は発行部数100万部を超える大ベストセラー雑誌へと成長しました。