学術調査において、無性愛者の割合はどれほど存在するのでしょうか。カナダ・ブロック大学のアンソニー・ボガート教授が2004年に英国の大規模調査データを分析した研究では、人口の約1.05%が無性愛者であると報告されました。この「1%」という数値は、国際的な指標として広く参照されています。
日本国内の動向に目を向けると、電通ダイバーシティ・ラボや主要大学のジェンダー研究機関が実施したLGBTQ+関連の大規模意識調査において、回答者の約0.8%〜1.6%がアセクシュアルまたはノンセクシュアルを自認しているという結果が示されています。学校の1学年や職場のフロアに数人は当事者が存在している計算であり、決して非現実的な少数派ではありません。
無性愛になる原因や理由については、「過去の失恋や性被害によるトラウマではないか」「ホルモンバランスの乱れではないか」といった憶測が散見されます。しかし、現代の性科学や精神医学の見解では、無性愛はトラウマやホルモン異常の結果ではなく、異性愛や同性愛と同様に生まれつき備わった多様な性的指向のバリエーションであると結論づけられています。後天的な心理的抑圧によって性嫌悪が生じるケースとは明確に峻別されるべき事実です。