かつてライブ会場の華であった超高輝度ケミカルライトが、現在多くの公演で締め出されている背景には、単なる「マナーの問題」にとどまらない、興行運営上の深刻なリスクが存在します。声優アイドルライブ持ち込み禁止の真相を追うと、複合的なトラブルの連鎖が浮かび上がってきます。
最大の要因は、周囲の観客に対する物理的・視覚的な加害性です。ウルトラオレンジは一般的なサイリウムの数十倍に達する光量を瞬間的に放ちます。暗転した密閉空間で至近距離からこの強光を浴びると、一時的な視界不良(残像現象)を引き起こし、ステージ上の演者が見えなくなるだけでなく、隣席の観客が強い眼精疲労や頭痛を訴えるケースが多発しました。
さらに深刻なのが、安全管理上の物理的事故です。ケミカルライトはプラスチック製容器内のガラスアンプルを割って化学反応を起こす構造ですが、激しい動きによって容器が破損し、内部の蛍光液(フタル酸エステルや過酸化水素混合液)が漏洩する事故が報告されています。「隣の人のUOから飛散した液体で服やバッグが変色した」「目に入って激痛が走った」という被害報告は後を絶ちません。
また、ステージ演出やライブ映像収録への悪影響も見逃せません。近年のドーム・アリーナクラスの公演では、DMX制御による精密な無線コントロールペンライト(Freフラッシュ等)やプロジェクションマッピング、繊細なムービングライトを多用します。客席から無秩序に放たれる過剰なオレンジ光は、照明監督が設計したカラーバランスを破綻させ、配信・Blu-ray収録カメラのセンサーを露出オーバー(白飛び)に追い込む原因となっています。