欧米や日本の大手制作会社が直接北朝鮮に発注をかけることはまずない。それにもかかわらず、なぜこのような事態が頻発するのか。そのカラクリは、中国などの代理店を間に挟んだ多重下請け構造にある。メインの制作会社は一次請けのアジア系スタジオに作画を委託し、そのスタジオがさらにコストの安い別の制作会社へ再委託する。その過程で管理の目が届かなくなり、最終的に北朝鮮のデジタル作業者へ行き着くのだ。
このような現場における格安の下請け労働は、納期の切迫したアニメ業界において「安く・早く・高品質な作画を仕上げる抜け道」として暗黙のうちに利用されてきた側面がある。作業のデジタル化により、インターネット経由で制作データや指示書を暗号化してやり取りすることが容易になったことも、不正な外部委託の発覚を遅らせる要因となった。