式守伊三郎の歴史を語る上で欠かせないのが、昭和から平成の相撲界に燦然と輝く足跡を残した「10代式守伊三郎」です。春日野部屋に所属し、横綱・栃錦や栃ノ海らを育て上げた名門の事務・土俵指導両面を支えた大黒柱でした。
10代伊三郎は、1927年(昭和2年)生まれ。若き日から卓越した相撲センスと鋭い観察眼を発揮し、順調に番付を駆け上がりました。三役格行司時代に「10代式守伊三郎」を襲名し、昭和の大相撲黄金期を土俵の中央で裁き続けました。当時の取組映像や関係者の証言によると、「伊三郎の軍配には迷いがなく、立ち合いの掛け声一閃で館内の空気を変えた」と絶賛されています。
その後、伊三郎は立行司へと昇格を果たし、式守伊之助を経て、行司の最高位である26代木村庄之助を襲名。停年(現・定年)退職を迎えるまで、数々の歴史的一番を一切の乱れなく裁き切った姿は、今なお歴代行司の理想像として語り継がれています。