岐阜レトロミュージアムの代名詞として、来館者の胃袋と好奇心を掴んで離さないのが富士電機製めん類自動調理自販機です。昭和のドライブインや幹線道路沿いに普及したものの、電子レンジやコンビニエンスストアの台頭、部品調達の難航によって急速に姿を消した昭和遺産のひとつです。
お金を入れてボタンを押すと、ニキシー管を思わせるデジタルカウンターが「27秒」からカウントダウンを開始。内部で湯切りが行われ、温かい出汁とともに具材入りの丼がガコンと取り出し口に姿を現します。この27秒間のアナログな調理ギミックを眺める時間こそが、来館者にとってかけがえのないアトラクションとなっています。
ネット上の口コミや現場での実食レビューでも、その味に対する評価は驚くほど本格的です。「機械から出てくるチープな味を想像していたら、出汁の香りがしっかり立っていて驚いた」「天ぷらや油揚げに味が染みていて箸が止まらない」といった声が相次いでいます。それもそのはず、器にセットされる麺や具材、つゆは毎営業日ごとに仕込みが行われており、機械のレトロさに甘えない確かなこだわりが注がれているからです。
ただし、この自販機うどんには明確な注意点があります。機械の構造上、1日に補充できる杯数には物理的な上限が存在します。週末や大型連休には12時から13時台のランチピークで完売してしまうケースが日常茶飯事です。名物うどんを確実に味わいたい場合は、午前の早い時間帯に注文を済ませるスケジューリングが欠かせません。