来園者が最も息をのむ瞬間といえば、インドネシア・スマトラ島の熱帯雨林に自生する希少植物ショクダイオオコンニャク(別名:タイタン・アルム)の開花です。ネット上では「ショクダイオオニャック 開花」といったキーワードで爆発的に検索される現象からも、その注目度の高さがうかがえます。
この植物の驚異的な特徴は、地上部に出現する花序(花の集まり)のスケールです。高さ2メートルから3メートル近くまで巨大化し、一見すると1つの花のように見えますが、中央の付属体とそれを取り巻く仏炎苞(ぶつえんほう)からなる複合体です。そして開花を迎えると、受粉を媒介する甲虫やハエを引き寄せるため、「強烈な腐敗肉の臭い」を放ちます。温室内が独特の熱気と悪臭に包まれる体験は、まさに生物の生存戦略そのものを五感で突きつけられる瞬間です。
しかし、この巨大花を拝むハードルは極めて高いのが現実です。球根(塊茎)に十分な栄養が蓄積されるまで数年を要し、一度開花するとわずか48時間から72時間程度で付属体が倒壊してしまいます。開花予測が出た途端、全国から愛好家や研究者が駆けつけるため、公式ウェブサイトで発信される筑波実験植物園 開花情報や公式SNSの速報を日常的に注視しておくことが必須となります。