目の前の絵画が飛び出して見える仕掛けの根底には、長年にわたる視覚心理学と伝統技法の融合が存在する。日本における錯視・トリックアートのパイオニアとして知られる剣重和宗氏が生み出した立体画の表現手法は、光と影の巧みな計算と遠近法の応用によって成り立っている。平面上に描かれた陰影や独特の構図が人間の脳を心地よく混乱させ、まるで作品の中に自分が入り込んだかのような錯覚を生み出す。
館内に足を踏み入れると、古代遺跡を思わせる空間から巨大な危険生物が迫り来るグラフィック、名画をパロディ化したコミカルな作品まで、バリエーション豊かな絵画が壁一面に飾られている。見る角度や光の当たり具合によって見え方が変化するため、単に鑑賞するだけでなく、自分でベストポジションを探し出す宝探しのような面白さがある。