円の単元で最も配点が高く、計算の巧拙が合否を分けるのが円の接線の方程式に関する問題です。
まず、基本公式として絶対に押さえておくべきなのは、原点を中心とする円 $x^2 + y^2 = r^2$ 上の点 $(x_1, y_1)$ における接線の方程式です。
$x_1 x + y_1 y = r^2$
中心が $(a, b)$ に平行移動した円 $(x - a)^2 + (y - b)^2 = r^2$ 上の点 $(x_1, y_1)$ における接線であれば、次の公式で一発計算が可能です。
$(x_1 - a)(x - a) + (y_1 - b)(y - b) = r^2$
しかし、受験生が真につまずくのは「円の外部の点から引いた接線の方程式」を求めるパターンです。ここで連立方程式を立てて判別式 $D = 0$ に持ち込もうとすると、展開と2乗計算で計算用紙が埋め尽くされ、符号ミスを誘発します。
ここで威力を発揮するのが、幾何学的な性質である点と直線の距離の公式を活用する別解です。
円の中心と直線との距離を $d$、円の半径を $r$ と置いたとき、円と直線の位置関係は次のように完全に分類できます。
- 異なる2点で交わる: $d < r$
- 1点で接する(接線): $d = r$
- 共有点を持たない(離れている): $d > r$
点 $(x_0, y_0)$ と直線 $Ax + By + C = 0$ の距離の公式は、
$d = \frac{|Ax_0 + By_0 + C|}{\sqrt{A^2 + B^2}}$
接線の傾きを $m$ とおいて直線の方程式を $y - y_1 = m(x - x_1)$、すなわち $mx - y + (y_1 - mx_1) = 0$ と一般化し、「中心からの距離 $d = r$」という方程式を立てるだけで、判別式を使わずに傾き $m$ が一撃で算出されます。この手法は計算量を半分以下に圧縮する強力な武器です。