精肉売り場でパックを選ぶ際、ネット上の断片的な知識による誤解が散見されます。代表的な2つの盲点を是正します。
誤解①:「パックの底に赤い液体が溜まっているのは新鮮な肉汁である」
これは完全な誤りです。トレイ底の赤い液体は「ドリップ(汁漏れ)」と呼ばれ、肉の細胞破壊によって水分・旨味成分(グルタミン酸やイノシン酸)・水溶性タンパク質が体外へ流出したものです。ドリップが出ている肉は加熱時にパサつき、生臭さの原因となります。必ず「ドリップシートが乾いており、肉が余分な水分に浸かっていないもの」を選んでください。
誤解②:「重なり合った肉が黒ずんでいるのは傷んでいる証拠」
パック内でスライス肉同士が重なっている部分が暗赤色(紫がかった沈んだ色)になっているのを見て、鮮度落ちを疑う声が知恵袋等で散見されます。しかし、これはミオグロビンが空気に触れていない(還元状態の)ためであり、空気に触れて15〜30分ほど経つと酸素と結合して鮮やかな赤色(オキシミオグロビン)に発色します。異臭や粘り気がなければ、むしろ切り立ての鮮度を保っている証拠です。
プロが現場で実践する美味しい肉の選び方のチェックリストは次の通りです。
- 牛肉:鮮やかな赤褐色(または小豆色)で、脂肪交雑(サシ)が乳白色で均一に入っているもの。
- 豚肉:淡いピンク色(桜色)でツヤがあり、脂身が純白で弾力があるもの(黄色がかった脂は酸化の兆候)。
- 鶏肉:透明感のあるピンク色で、皮の毛穴が盛り上がり、身にふっくらとした厚みがあるもの。