つじあやの代表曲として認知され続ける「風になる」ですが、彼女自身の音楽活動もまた、しなやかに成熟を重ねています。デビュー以降、マイペースながらも途切れることなく作品を発表し続け、結婚や出産を経て発表されたアルバム『HELLO WOMAN』などでも、生活者の視点に根ざした温もりある歌声を届けてきました。
つじあやの現在の活動を追うと、映画やドラマ、数多くのCM音楽のソングライティングを手掛けるメロディメーカーとして確固たる地位を築いています。ウクレレを携えたアコースティックライブでは、20代の頃のみずみずしさに加え、母となり人生の機微を知った深みが歌声に加わり、往年のファンのみならず新たな若いリスナーを魅了しています。
『猫の恩返し』が公開された2002年から時が流れた2026年の今も、彼女の音楽が古びないのは、時代の流行に過度に迎合せず、アコースティック楽器の温もりと言葉の響きを何よりも大切にしてきたからに違いありません。「風になる」は、数あるジブリ主題歌名曲の中でも、日常に最も近い距離で人々の背中を押し続けるスタンダードナンバーとして君臨しています。