マトンカレーとは、成熟した羊肉(マトン)を主役に据え、玉ねぎ、トマト、生姜、にんにく、そして幾重にも重ね合わされた香辛料とともにじっくり煮込んだ煮込み料理です。チキンカレーの軽やかさやポークカレーの脂の甘みとは一線を画し、スパイスの刺激に負けない濃厚な肉汁のコクと野性味が全体を支配する重厚な仕上がりが特徴です。
羊肉は成長段階によって呼称が明確に分かれています。生後1年未満の仔羊肉はラム、生後1年以上2年未満の羊肉はホゲット、そして生後2年以上の成羊肉がマトンと呼ばれます。成長が進むにつれて肉質は赤みが深く引き締まり、風味も力強さを増していきます。
さらに知っておくべき文化的な背景として、インド料理におけるマトンの定義があります。本場インドやネパール、パキスタンのレストランでは、宗教的背景や飼育環境から「マトン(Mutton)」という単語が山羊肉(ゴートミート)を指すケースが多々あります。日本国内のインド料理店でも、現地基準に準拠して山羊肉を使用する店と、オーストラリアやニュージーランドから輸入された成羊肉を使用する店が存在し、どちらも滋味深い出汁と引き締まった繊維感が楽しめます。