ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「3月下旬なら雪も少ないから、レンタカーを借りて観光地をドライブできるか」「夏タイヤでも走れる日があるのでは」といった危険な言説が散見されます。しかし、北国の道路事情を知る専門家の視点から見れば、これは極めてハイリスクな誤認です。
北海道3月スタッドレスタイヤ必須理由と峠越えの脅威
北海道のレンタカー会社では、例年4月下旬から5月上旬まで全車スタッドレスタイヤを標準装着して貸し出しています。なぜなら、3月の北海道でノーマルタイヤ(夏タイヤ)を走行させることは自殺行為に等しいからです。
たとえ札幌市街地の幹線道路が晴天で乾いていたとしても、定山渓温泉方面、支笏湖・洞爺湖方面、あるいは富良野や旭川へ向かう途中の「峠道(中山峠や日勝峠など)」に一歩足を踏み入れれば、そこは標高の高さから完全な猛吹雪と吹きだまりの真冬世界です。気温はマイナス10℃近くまで下がり、視界全体が白一色に染まる「ホワイトアウト」に見舞われることも珍しくありません。
レンタカー利用者が絶対に遵守すべき冬道運転注意点
冬道運転の経験が乏しい本州のドライバーが3月に運転する場合、以下の3箇条を徹底しなければ重大事故に直結します。
- 「急」のつく動作の完全排除:急発進、急ブレーキ、急ハンドルは即スリップに直結します。ブレーキを踏む際はポンピングブレーキを活用し、通常の3倍以上の車間距離を確保してください。
- 4WD(四輪駆動)の過信は禁物:「4WDだから滑らない」というのは危険な思い込みです。4WDは雪道での発進力や登坂力に優れているだけで、ブレーキを踏んだ時の制動距離は2WDと何ら変わりません。むしろ車両重量が重い分、一度制御を失うとスピンが止まらなくなります。
- わだち(轍)でのハンドル取られと融雪溝:溶けかけた雪が固まってできた深い溝(わだち)にタイヤを取られると、予期せぬ方向へ車体が振られます。また、道路脇の雪解け水を流す深い側溝に脱輪する事故も3月に集中します。