整備士の給料はなぜ上がらない?人手不足の裏に潜む構造的歪みと実態

整備士の給料はなぜ上がらない?人手不足の裏に潜む構造的歪みと実態

整備士の給料はなぜ上がらない?人手不足の裏に潜む構造的歪みと実態の背景について、分かりやすい解説を詳しくお届けします。

インターネット上の掲示板やSNS、知恵袋を覗くと、現役整備士たちの生々しくリアルな証言が渦巻いています。「車が好きでこの道を選んだのに、現実は過酷すぎた」という後悔の声と、「それでもエンジンの鼓動を取り戻した瞬間の達成感は何物にも代えがたい」という誇りが入り混じる現場の実態を検証します。

大手ディーラーに勤務する20代後半の男性メカニックは、自らの給与明細を公開しながら次のように語っています。
「毎月の総支給が24万円で、住民税や社会保険を引かれた手取り額は18万円台前半。夏は40度を超えるサウナ状態の工場でツナギを汗だくにしながら重量級のタイヤを脱着し、冬は凍りつくような冷水で下回りを高圧洗浄する。腰を痛めて湿布だらけになりながら、点検台数のノルマに追われる毎日です。休日出勤して客からの理不尽なクレームを受け止めていると、ふと『自分は何のために働いているのか』と虚しさに襲われます」

こうした過酷な境遇は、産業社会学で指摘される「やりがい搾取」の典型的な構図と言えます。「車が好き」「技術を極めたい」という現場の純粋な情熱や職人気質に依存し、劣悪な環境や低賃金を正当化してきた業界の悪癖が、若者の急速な整備士離れを招いたことは明白です。国家資格を持ち、公共交通の安全を死守するエッセンシャルワーカーでありながら、適切な社会的対価が支払われてこなかった歴史的経緯が存在します。

一方で、自らのスキルを武器に待遇を勝ち取ったベテランからは前向きな証言も聞かれます。「輸入車専門のプロショップに移籍し、オールドタイマーのレストアやECU現車セッティングを手掛けるようになってからは、工賃を自分で強気に値決めできるようになった。技術を安売りせず、顧客と直接信頼関係を築ける環境さえ選べば、整備士は定年を過ぎても一生食っていける最高の腕職人だ」という確信に満ちた声も存在します。働く場所と顧客層の選定が、整備士人生の成否を分ける決定打となっています。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。