「効果測定を実施している」と答える企業の実に7割近くが、実際には誤った解釈や形骸化した運用に陥っているのが実態です。取材を進めると、企業が効果測定で失敗する理由には、組織構造と心理的バイアスに根ざした明確な共通項が存在することが浮き彫りになりました。
代表的な失敗の病理が「指標の自己目的化」です。計量経済学や社会心理学において「グッドハートの法則(ある指標が目標として設定された瞬間、それは良い指標ではなくなる)」と呼ばれる現象が、まさにマーケティングの現場で日常的に起きています。例えば、獲得単価(CPA)を下げること自体がチームの絶対目標になると、本来アプローチすべき将来優良顧客になり得る見込み層を切り捨て、すでにブランドを知っている既存顧客に近い層ばかりを安価に刈り取る本末転倒な施策に終始してしまいます。
さらに、組織の「縦割り構造」も測定を狂わせる温床です。Web広告チームはクリック率(CTR)や獲得件数(CV)だけを追い、営業・インサイドセールス部門は商談化率を追い、ブランド広報室は認知度だけを追う。それぞれが個別のダッシュボードで「自部門の成功」を主張し合う結果、会社全体として利益が残っているのか誰も全体像を把握できないという構造的不全が生まれています。