1980年代初頭、日本中を席巻した漫才ブーム。その爆風の中心にいたのがツービートだった。狂気すら孕んだたけしのマシンガン即興トーク。放送コードギリギリを突く過激なネタの数々。だが、それを成立させていたのは、間違いなく隣に立つ男の存在である。
「よしなさい」――たったそれだけのフレーズ。しかし、そこには計算を超えた絶妙の間があった。強烈すぎる毒をマイルドに中和し、視聴者がクスッと笑える余白を作る。相方の暴走を止めるフリをしながら、実は次の爆弾を投下させるための助走をつける。この高等技術を、彼は意識してか無意識にか、サラリとやってのけていた。