漢字の使い分けでさらに混乱を招きやすいのが、「質問する」「尋ねる」を意味する「訊く」の存在です。それぞれの役割と適用ルールを一覧表で整理しました。
文部科学省の常用漢字表において、「訊」の訓読み(きく)は認められていません。そのため、新聞やテレビなどの報道機関、官公庁の公用文では「道を訊く」「理由を訊く」とは書かず、すべて「道を聞く」「理由を聞く」または「尋ねる」と表記します。私的なメールや文芸作品で「訊く」を使うこと自体は表現として豊かですが、公的なビジネス文書では「聞く」に統一するか、「お尋ねする」と言い換えるのが最も安全な判断です。
迷いやすいケースとして「意見をきく」があります。単に多数決のように意見を集める・聞くだけなら「意見を聞く」、相手の主張や問題提起に真摯に耳を傾ける場合は「意見を聴く」、質問して回答を引き出す場合は「意見を訊く(公用文なら「意見を聞く/求める」)」となります。文脈の重みによって漢字を選択するスキルが求められます。