医療のデジタル化が進む一方で、「機械的で冷たい医療になるのではないか」という懸念の声がなかったわけではない。しかし、現場を訪れると、むしろ患者と医療従事者の間の対話が増えていることに気づかされる。
定期通院を続ける70代の女性患者は笑みを浮かべながらこう話す。「昔は先生がずっとパソコンの画面ばかり見ていて、話を聞いてくれているのか不安でした。でも今は、先生がしっかりと私の目を見て『調子はどうですか』と話しかけてくれます。書類の準備もスタッフさんが親切に手伝ってくれるので安心です」。
業務の効率化によって生まれた時間は、患者の不安を和らげる「手当て」の時間へと還元されている。デジタルはあくまで人間的なケアを補強するための道具に過ぎないという姿勢が、現場の隅々にまで浸透しているのだ。