投扇興で使用する道具は、日本の伝統工芸の粋を集めた繊細な仕立てになっています。競技の公平性を保つため、道具の規格や対戦距離は厳密に取り決められています。
1. 蝶(ちょう):的となる道具。桐の薄板を銀杏(イチョウ)の葉の形に切り抜き、和紙を貼って下部に小さな錘(おもり)や鈴を取り付けたもの。風に乗りやすく、わずかな接触で多彩な倒れ方をします。
2. 枕(まくら):蝶を置くための桐製の直方体(高さ約15〜18cm、幅約9〜10cm四方)。安定しているように見えて、扇子が強く当たると簡単に転倒します。
3. 投扇(とうせん):競技専用の扇子。一般的な舞扇や普段使いの扇子よりも親骨が厚く、和紙の貼り方や重心が「飛ばすこと」に特化して調整されています。
🎯 基本的な対戦ルールと配置距離
・対戦形式:1対1の対戦(座礼にて相対する形式が基本)。
・投扇距離:枕から投げ手の膝前まで約一間(約1.8m)、普及ルールでは半間〜1.5m前後。
・投数:先攻・後攻が交互に各10投(または5投・12投)投げる。
・勝敗決定:全投終了時の合計点数が高いプレイヤーの勝利。
審判(行司・銘定人)が「いざ見参」の合図で道具の静止状態を確認し、厳かな声で「銘は須磨、点数は三十五点」と読み上げます。この独特の静寂と緊張感は、他の現代ボードゲームやeスポーツにはない日本伝統文化ならではの美点です。