アイロンワッペンの裏面には、常温では固体で熱を加えると溶け出す「熱可塑性(ホットメルト)樹脂」が塗布されています。この樹脂が熱によって液状化し、衣類の繊維の奥深くまで浸透したあと、冷えて再び固まることで強力な投錨(アンカー)効果を発揮し、布同士を結合させます。
洗濯ですぐに剥がれてしまう最大の原因は、この樹脂が繊維の奥まで入り込む前に中途半端に冷え固まってしまう「圧着不良」です。そして、その失敗を引き起こす代表的な要因が「スチーム機能の使用」にあります。
多くの人が良かれと思ってスチームを出してしまいがちですが、ワッペン付けにおいてスチーム機能は厳禁です。蒸気が出るとアイロン底面の金属温度が一時的に急低下し、接着樹脂を十分に溶かし切ることができません。さらに、繊維内に余分な水分が入り込むことで樹脂の密着を阻害してしまいます。熱可塑性樹脂をしっかりと溶かして繊維に絡ませるためには、必ずアイロン設定温度を中温ドライ(約140〜160℃)にセットすることが絶対原則です。