脳が死の直前にわざわざ過去を振り返る理由として、進化学および心理学の観点から最も有力視されているのが「超高速の生存データベース検索説」です。
突発的な死の危機(高所からの転落、交通事故、溺水など)に見舞われた際、脳は「どうすれば生き延びられるか」という解を導き出すため、生涯で蓄積したすべての経験・知識・感情データを一瞬で総ざらいします。いわば、パソコンの検索エンジンが全ハードディスクを全力でスキャンしている状態です。
また、危機的状況下ではアドレナリンやエンドルフィンが大量に分泌され、時間知覚が極端に引き延ばされる「タキサイキア現象(スローモーション現象)」が併発します。周囲の時間が止まったように感じられる数秒からコンマ数秒の間に、膨大な記憶検索が走るため、体験者の主観では「一生分の記憶をじっくり振り返った」ような感覚として知覚されます。