エヴァ初号機が外部電力の供給切れやパイロットの意識喪失に関わらず突如として動き出す現象、それが「暴走」です。ネルフ本部のオペレーターたちが「制御不能」「シンクロ率計測不能」と叫ぶこの事態の根底には、エヴァンゲリオンという存在の生々しい正体が深く関わっています。
作中の公式設定資料および絵コンテ集に記された事実として、エヴァ初号機は人工の金属機械ではなく、地球の生命の源である第2使徒「リリス」の肉体を複製して作られた生体兵器(人造人間)です。機体を覆う装甲板は、敵の攻撃を防ぐ防具ではなく、強大すぎる巨人の肉体と力を無理やり抑え込むための「拘束具」に他なりません。
そして、初号機のコアに宿っているのが、西暦2004年のダイレクト・エントリー実験によって肉体を失い、自らの意思で機体へと溶け込んだ碇シンジの実母「碇ユイの魂」です。通常時、エヴァはパイロットとA10神経を接続してシンクロすることで操縦されますが、シンジが致死的な危機に瀕した瞬間、母であるユイの魂が機体の主導権を完全に掌握します。つまり、暴走とはシステムのバグや暴発ではなく、「我が子を抹殺しようとする敵を徹底的に排除する母性の直接行使」という明確な意志に基づいた防衛行動なのです。