事件発生直後から、報道ジャーナリズムは容疑者の人物像だけでなく、その家族のプライバシーをも過熱気味に報じ続けた。父親は職を失って離婚し、弟は世間の偏見や嫌がらせに耐えかねて自ら命を絶つという、あまりにも凄惨な連鎖が家族を襲った。これらの経緯は当時、Yahoo!ニュースをはじめとするウェブメディアでも大きく取り上げられ、加害者家族に対する過剰な社会的制裁の是非をめぐる議論を巻き起こした。
メディアの過熱取材と匿名によるネット上の攻撃は、加害者家族を追い詰める刃となり得る。もちろん加藤が犯した罪は許されるものではない。だが、罪を犯していない家族までもが社会的抹殺に追い込まれる構造に対し、当時の報道ジャーナリズムが及ぼした影響と倫理的課題は、今なおメディア界に重い問いを投げかけている。