多くの個人投資家が陥りがちな最大の誤解は、「先物が下がったから、明日は全ての日本株が崩壊する」という短絡的な決めつけです。日経平均株価は指数の算出方式上、ファーストリテイリングや東京エレクトロンといった値がさ株数銘柄の構成比率が極端に高い特徴を持っています。先物主導で売られている局面では、指数寄与度の高い一握りの大型ハイテク株だけが集中して売り叩かれ、TOPIX(東証株価指数)や中小型個別株、高配当バリュー株は底堅さを維持しているケースも珍しくありません。
もう一つの盲点は、大阪取引所手口情報の読み違えです。夕方に日本取引所グループ(JPX)から開示される手口情報において、特定の海外大手証券(モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスなど)が大量に売り越しているのを見て「海外勢が完全撤退した」と早合点するのは危険です。先物を売り越す一方で現物バスケットを買い付けている裁定取引(アービトラージ)や、オプションのデルタヘッジである可能性を検証しなければ、市場の真の方向性を見誤ることになります。
さらに、四半期ごと(3月・6月・9月・12月の第2金曜日)に訪れるメジャーSQ影響予測も見落とせません。SQ直前の週には、ポジションロールオーバー(乗り換え)や思惑的な仕掛けによって、ファンダメンタルズとは無関係に先物価格が歪められます。「理由なき急落」に見える現象の多くは、単なる需給要因によるSQ前の特殊な綱引きであることも多いのです。