『ひるなかの流星』が読者の心を掴んで離さない最大の要因は、胸を締め付けるセリフの数々と、計算し尽くされた距離感の演出にあります。恋愛描写のリアリティとキャラクターの体温が伝わる名場面は、SNS等でも今なお語り草です。
獅子尾先生を象徴する名シーンといえば、水族館デートの帰り道や学校の階段で見せる、大人と少年の狭間にある表情です。普段の飄々とした態度から一転し、ふいにすずめの頭を撫でたり、真剣な眼差しで「お前、ほんと俺のこと好きだな」と呟くシーンは、多くの読者を悶絶させました。すずめに対する未熟ゆえの葛藤が言葉の端々に滲み出ており、完璧ではない大人の男性としての魅力が凝縮されています。
一方の馬村は、無自覚な破壊力を持つ胸キュンシーンの宝庫です。女子に触れられると耳まで赤くなるというウブな設定でありながら、いざという時には男らしい決断力を見せます。修学旅行の夜、すずめを引き寄せて放った「俺にしとけばいいのに」という告白は、少女漫画史に残る屈指の名言として定評があります。さらに、体育倉庫でのハプニングや、すずめの首に自分のマフラーを巻きつけながら距離を縮めるシーン、そして気持ちが通じ合った後の甘く優しいキスシーンなど、馬村派の読者を熱狂させる演出が随所に散りばめられています。