川島なお美さんを襲った病魔は、早期発見が極めて難しいとされる肝内胆管がんでした。2013年夏に人間ドックで腫瘍が見つかり、2014年1月に約12時間に及ぶ腹腔鏡下手術を受けました。摘出には成功したものの、がんの進行と転移のリスクは常に隣り合わせの状況でした。
川島さんが激やせした最大の原因は、がん悪液質による代謝異常や消化機能の低下、そして何より過酷なステージに立ち続けるためのエネルギー消費でした。さらに彼女は、手術後の標準治療である抗がん剤治療を選択しませんでした。これには明確な理由がありました。
「抗がん剤の副作用で声が出なくなったり、髪が抜けたり、舞台に立てなくなることだけは避けたい」。川島さんは自らのアイデンティティである舞台演劇にすべてを捧げる決意を固めていました。食事療法やビタミン点滴、温熱療法といった補完代替医療を取り入れながら、ミュージカル『パルレ 〜洗濯〜』や『クリスマス・キャロル』の稽古に命を削る思いで打ち込んでいたのです。
しかし、病状の進行は残酷でした。2015年9月中旬、長野県伊那市でのミュージカル公演後に体調が急変。無念の降板を余儀なくされ、緊急入院からわずか数日後の2015年9月24日、胆管がんによる多臓器不全のため54歳の若さで息を引き取りました。