初心者がマリンツアーを選ぶ際、最も慎重に検討すべき要素が「潜水深度に伴う水圧変化」と「身体への生理学的負荷」です。
潜水深度の違いと水圧のリアリティ
シュノーケリングでは水面に浮かんでいるため、体にかかる圧力は大気圧(1気圧)とほぼ変わりません。しかし、ダイビングで水深10mまで潜ると、水圧は地上の2倍である2気圧に達します。
体験ダイビングでは、インストラクターの管理下で水深5m〜10m(最大12m)の浅瀬へ潜ります。この深さは、色鮮やかなサンゴ礁や熱帯魚の生息域と完全に一致しており、地上とは別世界の無重力感覚を味わえる反面、水圧による鼓膜の圧迫がダイレクトに発生します。
「耳抜き」の成否と危険性の検証
ダイビングにおいて避けて通れないのが「耳抜き(圧平衡)」です。潜行時に水圧によって外耳道から鼓膜が内側へ押し込まれるため、鼻をつまんで息を吹き込む「バルサルバ法」などで中耳腔へ空気を送り込み、圧力を均等にする必要があります。
耳抜きがうまくできないまま無理に潜行を続けると、激しい耳の痛みが生じるだけでなく、鼓膜の損傷や中耳腔の出血(圧外傷)を引き起こす危険性があります。潜水医学の専門家も指摘するように、アレルギー性鼻炎や風邪気味で鼻腔が詰まっている状態でのダイビングは中耳炎やリバースブロック(浮上時に耳が抜けなくなる現象)の原因となるため極めて危険です。
年齢制限と健康状態のチェック項目
参加基準にも大きな違いがあります。シュノーケリングは足が着く浅瀬からスタートできるため3歳〜5歳程度の幼児から受け入れるショップが多いのに対し、ダイビングは呼吸器の操作や耳抜きの意思疎通が必須となるため、一般的に10歳以上に対象が限定されます。
また、ダイビングでは「病歴診断書」の提出が義務付けられており、喘息、気胸の既往歴、重度の心臓・循環器疾患、てんかん、妊娠中の方は参加できません。さらに、潜水によって体内に溶け込んだ窒素が気泡化して血管を塞ぐ「減圧症(潜水病)」を防ぐため、ダイビング終了後は最低でも12時間〜18時間以上、飛行機への搭乗が禁止されています。旅行最終日のフライト直前に潜るスケジュールは絶対に組めません。