フロントガラスに「放置車両確認標章」が貼り付けられた瞬間、多くのドライバーはパニックに陥り、「警察署へ怒鳴り込んで取り消させよう」と考える。しかし、現場の警察署窓口でいくら理不尽を訴えても、標章がその場で取り消されることは制度上あり得ない。
標章が貼られた後の法的手続きは極めて厳格であり、不服がある場合は「感情的な抗議」ではなく「法的な弁明手続き」を踏む必要がある。手順と事実関係は以下の通りだ。
まず、標章が貼られてもドライバーが警察署へ出頭しない場合、約1〜2週間後に車両の登録上の所有者(使用者)宛てに「弁明通知書」と「放置違反金納付書」が郵送されてくる。警察署へ出頭してしまうと「運転者」としての責任を追及され、反則金に加えて免許の減点(通常2〜3点)を食らうことになるが、出頭せず放置違反金として納付すれば、ゴールド免許の維持を含め点数の加点は行われない(※半年以内に連続して違反を重ねると車両の使用制限命令が下る)。
もし、取り締まり自体に明白な瑕疵があった場合は、弁明通知書に記載された期日までに「弁明書」を公安委員会へ提出することになる。実際に取り消しが認められる正当な理由は極めて限定的だ。
- 正当な事由1:車両が盗難されていた場合(盗難届の受理番号が必要)
- 正当な事由2:故障や急病など、避けることができない急迫の事態であった場合
- 正当な事由3:法定除外車両(公安委員会発行の除外標章の正当な掲示)であり、監視員の確認漏れが立証できる場合
「荷物が重くて持てなかった」「トイレが我慢できなかった」「5分で戻った」といった理由は、過去の審査請求や裁判例でも一切正当な理由として認められていない。理不尽を感じたとしても、制度の枠組みを理解せずに窓口で暴れる行為は無意味であり、冷静に弁明手続きの対象となるか否かを見極めるのが賢明な対処法である。