家庭内で猫を観察していると、決まってフレーメン反応が起きやすいシチュエーションが存在します。特に飼い主が脱いだばかりの靴下、汗の染みたシャツ、靴の中敷き、あるいは人間の足の裏の匂いを嗅いだときです。
飼い主にとっては「自分の足が臭いからだ」と自虐的な笑い話になりがちですが、これには明確な生化学的理由が存在します。人間の汗や皮脂には、脂肪酸や微量のステロイド系代謝物、アンモニア化合物などが含まれており、これらの成分構造が猫のフェロモンや縄張りシグナルに類似した化学構造を持っているためです。
猫は人間の汗の匂いから悪臭を感じ取っているのではなく、「同居する仲間の重要な生体情報」や「強いフェロモン様物質」として認識し、ヤコブソン器官で懸命にプロファイリングを行っています。
また、靴下以外にも以下のような対象物でフレーメン反応が頻繁に確認されます。
- 他の猫のお尻や尿の跡:同種間の性成熟度、発情状態、健康状態を把握するための最も根源的な対象。
- 新しく持ち込まれた家具や段ボール:見知らぬ匂い物質が付着しており、縄張りの安全性を確認するために分析する。
- 飼い主の指先や顔:外出先から帰宅した飼い主に別の動物や見知らぬ場所の匂いが付いている場合、熱心にチェックする。