夕暮れ時、格子戸の街並みが美しいひがし茶屋街の周辺は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返る。行灯の灯りが石畳を照らす頃、ひっそりと暖簾を掲げる小料理屋風の食堂では、夜限定の特別な定食御膳が用意される。
治部煮をはじめとする加賀料理の伝統技法をベースに、旬の加賀野菜と滋味深い出汁で仕立てられた小鉢が美しく並ぶ膳。酒の肴としても成立する完成度の高い料理を、あえて夜の定食スタイルで提供する試みは、一人旅の旅行者や仕事帰りの地元客から絶大な支持を得ている。敷居の高さを感じさせず、それでいて料亭仕込みの繊細な味覚をじっくりと堪能できる贅沢な時間がそこにある。