端正な顔立ちから「国宝級イケメン」と称されることの多い吉沢亮ですが、彼の本質は徹底したストイシズムに支えられた憑依型の演技派です。その真価が最も純粋な形で発揮されたのが、ミュージカルという極めてシビアな生舞台の空間でした。
演劇界において、映像出身の俳優がミュージカルへ初挑戦する際には、発声の基礎や声量の不足が懸念されるケースが少なくありません。しかし、吉沢亮の歌唱力の評判は、そうした事前の下馬評を初日の第一声で見事に覆しました。劇場後方の客席まで淀みなく通るストレートな発声と、ピッチ(音程)の抜群の安定感、そして何よりも「歌詞の言葉一つひとつに感情を宿らせる表現力」が高く評価されたのです。
当時の観劇レポートや音楽関係者の分析によると、彼の歌声の最大の魅力は「飾り気のない素直な響きの中に宿る、驚くほどの透明感と熱量」にあります。単に技術的に歌声が上手いという次元にとどまらず、キャラクターの気弱さや内面の爆発をメロディに乗せて客席へダイレクトに届ける天性のミュージカル適性を証明してみせました。