生地を薄く焼いて食べる文化の起源は、フランス・ブルターニュ地方の伝統的な郷土食にある。近代フランス料理の父と呼ばれるオーギュスト・エスコフィエが「クレープ・シュゼット」を王侯貴族に捧げて以来、それは格式あるデザートとしての地位を確立した。バターとオレンジ果汁、リキュールでフランベされる優雅な一皿は、今も世界中のレストランで愛され続けている。
やがて製菓業の進化とともに、この伝統菓子は日本で独自の開花を遂げた。1970年代後半、紙で円錐形に巻いて生クリームや果物を詰め込むスタイルが東京で誕生し、一大ストリートフードへと昇華したのだ。近年では、ピエール・エルメのような世界的パティシエが手がけるオートパティスリーの技法を取り入れたプレミアムなクレープも登場。クラシックな歴史とポップカルチャーの融合が、現代の豊かな味わいを支えている。