「足の裏が赤い」という主訴から内科的精査に進んだ際、最も警戒される疾患群が肝臓疾患です。特に足の裏が赤い状態と肝臓疾患には、ホルモン代謝と血管運動に関わる明確な生化学的関連が存在します。
肝機能が著しく低下すると、本来なら肝臓で不活性化・代謝されるはずの女性ホルモン(エストロゲン)が血中に滞留します。過剰となったエストロゲンには末梢血管を強く拡張させる作用があり、これにより手のひらの親指の付け根(母指球)や小指の付け根(小指球)が鮮紅色に染まる「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」が発生します。そしてこの現象は手だけでなく、足の親指側やかかと周辺にも現れ、これが手掌紅斑と足底紅斑の合併と呼ばれる現象です。
都内の大学病院に勤務する消化器内科医は次のように証言しています。「定期健診の数値が要再検査のまま放置され、足の裏や手のひらの赤みが気になって皮膚科を受診したところ、進行した非アルコール性脂肪肝炎(NASH)やアルコール性肝硬変が見つかる患者が年間を通じて一定数存在する」。もし足裏の赤みに加え、手のひらも同様に赤い、クモ状に血管が浮き出る(クモ状血管腫)、あるいは日常的な倦怠感がある場合は、内科的な血液検査(AST、ALT、γ-GTPなど)を避けて通ることはできません。