万が一、何らかの強い衝撃が加わった場合、親はどのようなサインに注意すべきなのでしょうか。揺さぶられっ子症候群(AHT)の症状は、外力が加わった直後から数時間以内に現れることが大半ですが、軽度から中等度の損傷では風邪や消化不良と見分けがつきにくい点が診断を難しくしています。
危険を知らせる初期症状チェックリスト
以下の症状が見られる場合、小児科または脳神経外科の受診が不可欠です。特に「外見上の傷がないのに元気が消失している」状態は警戒が必要です。
・哺乳不良・嘔吐:母乳やミルクを全く飲まない、噴水状に何度も吐き戻す。
・異常な傾眠状態:いくら起こそうとしてもぐったりして目を合わせない、刺激への反応が鈍い。
・呼吸障害:呼吸が不規則、あえぐような息遣い、時折呼吸が止まる無呼吸発作。
・痙攣(けいれん):手足をピクピクと痙攣させる、白目をむく。
・大泉門の膨隆:頭頂部の柔らかい骨の隙間が、パンパンに張って盛り上がっている。
症状は「いつからわかる」のか、そして後遺症のリスク
急性期の重症例では受傷直後から意識障害やチアノーゼを起こし、数時間から24時間以内に緊急搬送されるのが一般的です。一方で、判断が難しいのが「軽度」の後遺症の存在です。血管の微小な損傷にとどまった場合、急性期には「機嫌が悪く嘔吐した」程度で見過ごされ、幼児期や就学期を迎えて初めて注意欠如・多動症(ADHD)様症状、学習障害(LD)、高次脳機能障害といった発達の遅れとして表面化するケースが報告されています。
最重症例では、脳組織の広範な壊死により、片麻痺、重度の知的障害、てんかん、失明などの深刻な後遺症を残し、致死率は約10〜20%に達します。だからこそ早期発見と正確な病態把握が生命と予後を左右します。