この特異なスタイリングの原点は、昭和の邦画界を牽引した東映株式会社の作品群にある。1960年代から70年代にかけて量産された極道映画において、伝統的な和装から西洋のスーツへの移行期に、象徴的なアイコンとして白のスーツが採用され始めた。
平成に入ると、映画『極道の妻たち』シリーズなどでその装いはさらに華やかさを増す。光沢のある最高級シルクや大柄なストライプを取り入れたダブルスーツは、バブル期の過剰な欲望と権力をそのまま体現していた。着物姿の女性たちの美しさと対比される形で、男たちの野心と誇飾がスクリーンに鮮やかに刻み込まれたのだ。