当事者から寄せられる切実な悩みの一つが、キャリアの断絶と生活の破綻です。躁期には驚異的な集中力で業務をこなしていたものの、急激な気分の落ち込みとともに起き上がれなくなり、欠勤や退職を余儀なくされるケースが目立ちます。このように仕事が続かないサイクルに陥ると、経済的基盤が揺らぐだけでなく、強烈な自己否定感に苛まれることになります。
とりわけ注意を払うべきは、一人暮らしにおける孤立です。体調不良で部屋が荒れ果て、栄養状態が悪化しても周囲が気づけず、セルフネグレクト(自己放任)に陥る事例は少なくありません。ネット上のブログやSNS体験談を見ても、「独り暮らしで躁状態になり、ネット通販で数百万円の負債を抱えて初めて家族に発覚した」「誰とも話さない日々が続き、うつが極限まで悪化した」といったリアルな告白が数多く散見されます。
この悪循環を断ち切る鍵は、「自力だけで生活と仕事を両立させようとしない」ことです。訪問看護を導入して定期的に生活リズムをチェックする体制を整えたり、職場に対して体調の波を事前に共有する「オープン就労」を検討したりするなど、外部の目を意図的に生活圏へ組み込む工夫が生活崩壊の防波堤となります。