なぜ番組プロデューサーや演出家は、こぞって元サッカー選手を起用するのでしょうか。民放キー局のチーフプロデューサーが明かした証言からは、テレビ業界の構造的変化と彼らの身体的・心理的特性の一致が浮かび上がってきます。
「バラエティの現場において、芸人さんはどうしても『笑いを取りに行く』という使命感からトークの尺を使います。しかし、元サッカー選手、特に一流のキャリアを積んだ方々は『場の空気を読んでパスを出す』『こぼれ球を素早く拾ってMCに返す』というボランチやディフェンダーのような立ち回りが自然にできるのです」(キー局プロデューサー談)
サッカーは90分間、目まぐるしく変化するピッチの戦況を俯瞰し、味方や相手の配置を予測しながら一瞬の判断を下し続けるスポーツです。この「空間把握能力」と「非言語コミュニケーション力」は、複数の出演者が入り乱れるひな壇トークの現場において、驚くほどダイレクトに作用します。MCが誰に話を振ろうとしているのか、今この場に必要なのはオチなのかリアクションなのかを直感的に察知できるため、番組のテンポを崩しません。
さらに見逃せないのが、「圧倒的な体育会系の礼儀正しさと規律」です。幼少期からクラブユースや名門高校の厳しい縦社会で揉まれ、日本代表という極限の規律を経験してきた彼らは、現場入り時の挨拶からスタッフへの気配り、時間厳守に至るまで極めて誠実です。コンプライアンスや現場の安全運行が厳しく問われる現代のテレビ制作現場において、この「扱いやすさと信頼感」は何物にも代えがたい強みとなっています。