「苗が元気に葉を増やしているからそのままにしておこう」という判断は、ナス栽培において最も陥りやすい失敗要因です。ナスの芽かきを完全に放置した場合、主枝と葉の付け根(葉腋)から無数に「わき芽」が伸び続け、植物のエネルギーである光合成産物が分散してしまいます。
ナスは極めて吸肥力が強く、成長スピードが早い野菜です。芽かきをしない株は一見すると大株に育ちますが、養分が枝葉の伸長ばかりに消費される「木ボケ」の状態に陥ります。その結果、開花しても結実せずに花が落ちる落花が頻発し、仮に着果しても実が肥大せず、硬くて形の悪い奇形果ばかりになる現象が起きます。
さらに深刻なのが、株内部の環境悪化です。枝葉が密集すると内部まで太陽光が届かなくなり、下葉から黄色く変色して枯れ上がります。通気性が失われることで湿度がこもり、うどんこ病や灰色かび病、乾燥と密集を好むハダニが爆発的に繁殖する温床となります。農林水産関連の栽培指導指針でも指摘されている通り、初期の整枝と芽かきは病害予防と収量安定化のための必須作業です。